ここでは、2022年度の診療報酬改定前に発表された厚生労働省の調査結果(※)から、一般診療所(入院診療収益なし)の外来診療収益における保険診療収益の伸び率を診療科目別にみていきます。
調査結果から、診療科目別・個人法人別に一般診療所の外来診療収益における保険診療収益金額の前々年(度)から前年(度)にかけての伸び率などをまとめると、下表のとおりです。
個人をみると、保険診療収益金額の伸び率は、全体ではマイナス8.0%でした。診療科ごとの結果では、10%以上のマイナスとなった診療科も複数ありました。
医業収益と介護収益の合計額(以下、合計額)に対する保険診療収益の割合は、80〜90%台の診療科が多くなっています。
医療法人の外来診療収益における保険診療収益金額の伸び率は、全体でマイナス5.2%でした。診療科ごとの結果では、すべての診療科がマイナスの伸び率となりました。
合計額に対する保険診療収益の割合は、個人と同様に80〜90%台が多いものの、個人より割合が低い診療科が多い状況です。
この調査結果はコロナ禍のものであり、厳しい状況であったことがうかがえます。次回の診療報酬改定の参考資料として発表される調査結果では、どのような数字になっているでしょうか。
(※)厚生労働省「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)」
本稿で紹介した数値は、2021年(令和3年)11月発表のものです。なお、ここで紹介した数値は2021年3月末までに終了する直近の2事業年(度)の数値で、参考として紹介した歯科診療所の数字には、入院患者の医療に係る収益も含まれます。またこの調査はサンプル調査です。サンプルの数字によって結果が左右される場合があり、施設数がサンプル数になります。
ここでの医業収益は新型コロナウイルス感染症関連の補助金(従業員向け慰労金を除く)を除いたものとなっています。
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